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デーモンナイトを探して
いったいどのくらい下ってきたのだろう。あの奇妙なチェスボードの部屋から出て、私達はずいぶんと地下深くまで来たように思う。だが空気は少しも淀んでいない。頬を撫でていく風さえ感じられるほどだ。
「ふぅ・・・。」
大きな溜息に振り向くと、カイヴァンが額の汗を拭っている。
「大丈夫?」
森の中でずっと暮らしてきたカイヴァンにとって、こんな地下深くの行軍はどれほどつらいことか。
「大丈夫だ。それよりも先に進もう。この先に妙な気配があるぞ。」
私達が今いるところは、長い廊下が奥まで続いていた。確かにその先に妙な気配を感じる。だが敵意は感じられない。
「ふむ・・・わしらの仲間かの・・・」
イェスリックが呟いた。そこにいたのは・・・亡霊、だろうか。ゆらゆらと白く揺らめく影が、確かに私達を見つめている。そしてその影はどう見ても、ドワーフのようだ。
「あんたはデューラッグか?」
イェスリックが尋ねた。
「わしは・・・ある男の影に過ぎぬ・・・。」
揺らめく白い影は、なぜか恐怖をまったく感じさせない。ウルキャスター学院跡で出会ったあの亡霊のような、敵意がなくても薄気味悪いというような、そんな嫌な気分にまったくならないのだ。その影が語ったところによると、この塔には、塔の主が作ったものではない者がいるという。そのものがいる場所にたどり着くためには、この階にある『3つの道を辿らなければならない』そうだ。ここにいても、かなり遠くからかすかに感じる邪悪な波動は、そのものから発せられている者なのだろうか。だとしたらそれは間違いなくデーモンナイトだろう。私達はそれを倒さなければならない。その3つの道を辿りに行くことを影に約束して、私達は奥に向かった。するとそこにはもう1人の影がいる。こちらは嫌な気分にならないどころか、溢れる慈悲の心を感じて、とても優しい気持になった。この影もドワーフのようだが、こちらは女性らしい。もしかしたら・・・
「あなたは、イズランヌ?」
影は優しく微笑んだ。そして、私達はこんなところにいてはいけない、光の中を歩んでほしいと言い、地上に送り返してくれると言った。さっきからつらそうなカイヴァンのために、一度地上に戻ろうかと思ったが、カイヴァンがそれを拒否した。
「悪は滅せられねばならぬ。気遣いはありがたいが、今は上に戻るときではない。」
我慢出来なくなったら必ず言ってねと念を押し、私達は塔の探索を続けることにした。デーモンナイトがすぐそこにいるのは間違いない。一刻も早く探し出さなければ。
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