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私達はバルダーズゲートへと続く橋を前にしていた。ここを渡ればゲートの中に入ることが出来る。
「いよいよね。」
イモエンは相変わらず楽しそうだ。みんな口々にゲートの中への興味を示す中で、コランだけが青い顔をしている。聞いてもなんでもないと答えるばかりだったが、突然、ここではなくウルゴス・ビアードに行かないかと持ちかけてきた。小さな村だが、デューラッグの塔へのツァーを企画している男がいるし、いろいろと儲け話の多い村だというのだ。だがどうも様子がおかしい。問いただすとやっとコランは重い口を開き始めた。コランが以前ブリエルバラという魔女といい仲になっていたということは一緒に旅するようになった頃に聞いたことがある。かなり嫉妬深い女だったようで、自分も亭主持ちだったくせにコランが別の女を口説いているところを見つけて怒りだしたので、彼はほうほうの体で逃げだしてきたらしい。そのブリエルバラが、どうやらバルダーズゲート内にいるらしいのだ。そこで彼は最後の悪あがきのように、ゲート内へ入るのを避けようとしているらしい。
「見つかったからっていきなりマジックミサイルでも撃ち込まれると思ってるの?」
「あの女ならやりかねん。」
「とりあえず、中には入るわよ。私達から離れないで。いきなり攻撃させたりしないから。」
やっとの思いで説得し、私達は橋を渡り始めた。もう少しで渡り終えるところにフレイミングフィストが立っている。ゲートへの『入場税』として6G払わなければならないそうだ。
「わかってたら塀を上って入ったのに。」
渋々ゴールドを手渡しながら、つい愚痴っぽくなる。
「そう言う奴が出ないようにここに立っているのさ。だいたいそんなことをしてみろ。不審人物としてあっという間に牢獄行きだぞ。」
それは確かにそうなんだけれど・・・。バルダーズゲートの大公達は、こういう細かいお金を儲けるのが好きなのだろうか。
「お前達はどこから来たのだ?」
「ベレゴストよ。」
一番無難な答をしておいた。別に嘘ではない。
「ふぅん・・・。」
フレイミングフィストはなおもじろじろと私達を眺め回し、
「まあいいだろう。我らの司令官がお前達と会いたいそうだ。」
現れた司令官はスカールと名乗った。ナシュケルの一件に関わっていたかどうかを尋ねられたので正直に答えておいた。こんなところで嘘を言っていいことがあるとは思えない。すると司令官は私達に仕事を依頼したいという。早速いい話にありつけたのかも知れない。二つ返事で引き受けた。ここでこの話が来なければ、まっすぐアルデス・サシェンスターの商人協会に顔を出そうと思っていたところだ。とりあえず仕事ももらえたし、しばらくゲートの中を見て回るのもいいだろう。無論いい話ばかりではないだろうが、ここまで来たらもう前に進むしかない。
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