HOME

My Fantasy World TOPへ

お気に入りの本たち

指輪物語 文庫版全9巻+追補編

著 者:J・R・R・トールキン
出版社:評論社
価格帯:文庫各735円 追補編のみ単行本2,310円(現在は文庫版の追補編が刊行されています)
サイト:ロード・オブ・ザ・リング公式ページ

内容&書評
 言わずと知れたロード・オブ・ザ・リングの原作です。内容は大きく『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』の3つに分かれています。

 養父のビルボから託された指輪が、実は冥王サウロンが作った『一つの指輪』であったことから、フロド(フロド・バギンズ)は魔法使いのガンダルフに促されるまま、住み慣れたホビット庄を離れることに。ガンダルフとフロドの話を聞いていた庭師の息子サム(サムワイズ・ギャムジー)がフロドの伴にと申し出て、二人は密かにホビット庄を出て行くことになります。が・・・フロドが旅立つことを聞きつけた、フロドの親戚にあたるメリー(メリアドク・ブランディバック)と、年若い又従兄弟ピピン(ペレグリン・トゥック)が、サムを問いつめて旅の目的を白状させ、一緒に行くと言い出します。このあたりの流れが映画だと少し違ってまして、映画ではフロドとサムは密かにホビット庄を出て行きます。たまたま通った畑でメリーとピピンに出くわし、彼らまでも巻き込んでばたばたと旅立つ羽目になります。そして映画では、ピピンはフロドの『従兄弟』という設定です。『又従兄弟』だと複雑でピンと来ないからなのか、それとも邦訳した時にそういう話にしたのかまではわかりません。
 さて、調べ物があると言ってフロド達より先にホビット庄を出たガンダルフとの待ち合わせ場所は、ブリー村の『踊る子馬亭』。ここにたどり着くまで、すでに何度も冥王の手先の襲撃に遭い、フロド達は命からがら踊る子馬亭にたどり着きます。ところがそこにも冥王の手先が襲撃をかけてきます。間一髪、酒場にいた不思議なマントの男アラゴルンに助けられますが、ガンダルフは約束の場所に現れず、フロド達はアラゴルンと一緒に旅を続けることに。フロドの旅の目的を、一番よく知っていたのはフロド自身ではなく、実はこのアラゴルンという野伏せり(レンジャー)でした。この後フロド達は度重なる冥王の追撃をかわしながら、ハーフエルフのエルロンドが支配する裂け谷へとたどり着きますが、途中フロドは瀕死の重傷を負います。エルフの薬でかろうじて命は助かったものの、闇の力を宿した剣で斬りつけられた傷は、この後ずっとフロドを苦しめることになるのです。
 裂け谷には、闇の森のエルフの王スランドィルの王子である弓の名手レゴラスや、主のいない玉座を守り続けるゴンドールの執政デネソールの子であるボロミア、ドワーフたちの一団などが続々と集まってきていました。『一つの指輪』が発見されたという知らせをガンダルフから受けて、対策を練るために集まったのです。『一つの指輪』を葬り去るには、冥王サウロンの支配する闇の国モルドールに向かい、『滅びの亀裂』に投げ込む以外に道はありません。が、『一つの指輪』は意志を持ち、指輪の所持者を誘惑します。指輪を懐に入れたまま、滅びの亀裂に向かうのは至難の業と思われました。そこでフロドは自分が行くと言い出し、サムも絶対に伴をすると言ってききません。ガンダルフはもちろん一緒に行くと言い、さらに道中の護衛にと野伏せりのアラゴルンとエルフの王子レゴラス、ドワーフのギムリ、そしてゴンドールの執政の子ボロミアが伴としてついて行くことになりますが、そこにほとんど乱入するようなかたちでメリーとピピンが一緒に行くと言い出します。この9人が『旅の仲間』としてモルドールに旅立つことになるのですが、その後またしても冥王の手先が彼らを襲い、指輪の魔力に一番弱いと言われた『人間』のボロミアがフロドから指輪を奪おうとし、フロドとサムに間違われたメリーとピピンが敵にさらわれ、物語は急展開を見せます。ここから『二つの塔』へと繋がっていくのですが、ネタバレはほどほどにしておきましょう。このあとは実際に読むのが一番です。

 ただ、第一巻の前半は、初めて読む方にはつまらないかも知れません。ホビット庄の親戚関係やら世界観やら、物語の背景ばかりが描かれており、私はいささか退屈でした。でも映画を見たあとなら楽しめるかも知れませんね。上の内容紹介ですが、もしかしたら映画とごっちゃになってる部分があるかも。まああくまでも私の感想なので、そのへんは気にしないでね。

ドラゴンランスシリーズ

著 者:マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン
出版社:エンターブレイン
価格帯:約2,000円〜2,500円
サイト:ドラゴンランス公式ページ

シリーズ内訳
  1. ドラゴンランス 全6巻
  2. ドラゴンランス セカンドジェネレーション 全2巻
  3. ドラゴンランス 夏の炎の竜 全3巻
  4. ドラゴンランス伝説 全6巻
  5. ドラゴンランス 魂の戦争 全3巻 刊行中
    (刊行順)
内容
 大分前に一度出版されながら、その後絶版となっていた本です。今回は著者注釈などを加えて、翻訳も新しくなって、復活しました。海外の超有名RPG、D&Dのルールに基づいて描かれています。舞台はクリンという惑星。そこに住むのは人間、エルフ、ドワーフ、ケンダーなど様々な種族です。
  1. ドラゴンランス 全6巻
    物語は、主人公であるハーフエルフのタニスが、5年ぶりに第2の故郷とも呼ぶべきソレースの町へと帰ってきたところから始まります。懐かしい『憩いの我が家亭』で、5年前に別れた仲間たちと再会しますが、ただ一人、キティアラと言う女性だけは行方知れずに・・・。5年前までは彼女と恋人同士だったタニスは心中穏やかではありません。その日、再会を祝して語り合う彼らの前に、不思議な青水晶の杖を持った一組の男女が現れます。彼らを襲った謎の集団に応戦したことが元で、タニス達は全員が追われる羽目に。でも実はこの騒動は、やがて訪れる未曾有の危機への序章にしか過ぎませんでした。タニス達は行く先々で騒動に巻き込まれ、何度も命拾いをし、やがて世界中が戦乱にまきこまれて行きます。さてタニス達の運命は・・・・・・・・!?
  1. ドラゴンランス セカンドジェネレーション 全2巻
    この本には短編がいくつか収められています。題名が示すとおり、ドラゴンランスで活躍したタニス達の子供たちの世代の物語です。
    『キティアラの息子』ではドラゴンランスで暗黒の女王タキシスの配下となったキティアラの息子が、父親であるソラムニアの騎士スタームと母の間で揺れ動き、やがて自分の道を見いだしていくまでが描かれ、『受け継ぎしもの』『賭けるか?』ではキャラモンとティカの子供達三人の成長して行く様子を、そして『レイストリンの娘』では、大魔術師レイストリンの血を受け継いだ娘がいるという話が、不確かな伝承のような形でつづられていきます。そして最後は『我が子のために』。タニスとエルフの娘ローラナとの間に生まれた息子ギルサスが、エルフ達の陰謀に巻き込まれながらも、強く生きて行こうとするさまと、子を思いながら何も出来ない親たちの葛藤が描かれています。親離れ出来ない子と子離れできない親・・・。どんな世界でも変わらないものなんですね。
  1. ドラゴンランス 夏の炎の竜 全3巻
    ドラゴンランスの時代から、約25年後が舞台のお話です。ドラゴンランス戦争で暗黒の女王タキシスに勝利した善の勢力は、すっかり平和ボケしてしまい、堕落しきっています。これを好機と、タキシスの配下である暗黒騎士団は、今度こそ善の勢力に勝利すべく周到に準備を進め、ひそかに進軍を開始するのですが、そんな中、とある小さな島で、神々すら震え上がるほどの大参事が起きていました。今回活躍するのはドラゴンランス戦争の英雄となったタニス達ではなく、『セカンドジェネレーション』に出てきた子供たちです。すべての種族が手を取り合って立ち上がらなければ、いや、そう出来たとしても勝てるかどうかわからない、それほどの危機に瀕して、かつての英雄たちも、その子供たちも勇敢に戦い、そして死んで行く、読んでいて切なくなる物語です。
  1. ドラゴンランス伝説 全6巻
    このお話は、実はドラゴンランスとセカンドジェネレーションの間に入るお話です。なので出て来るのはドラゴンランスの英雄、タニス達です。が、主人公はタニスではなく、陽気な戦士キャラモンと、その双子の弟レイストリン。そして信心ゆえの傲慢さに気づかない聖女クリサニア。彼女は悪の道に堕ちたレイストリンを救うべく彼に接触を試みますが、まんまと彼に利用され、アビス(奈落)の扉を開ける手助けをしてしまうのです。そのレイストリンを止めるべく奔走する兄キャラモンと、キャラモンを手助けしようと共に時空を超える旅に出るケンダーのタッスルホッフ。ところがケンダー生来のおちゃめさが顔を出し、手助けしているのか足を引っ張っているのかわからない状況に。さて彼らの運命は・・・。
  1. ドラゴンランス 魂の戦争 全3巻 
    未読のため、読了後内容紹介予定
書評
 このシリーズを知ったきっかけは、セガのD&D掲示板でした。とてもおもしろい本なのにずっと昔絶版になってしまったので復刊ドットコムで復刊リクエストをしているというお話でしたが、その後めでたく復刊されることに。しかも本国で出版されたネタバレ満載の注釈版つきでよみがえると聞き、早速第一巻から購入。とにかくおもしろいです。単なるヒーローものにはとどまりません。なんと言っても主人公のハーフエルフ、タニスがいい!
 エルフの母親が人間に暴行されて生まれたという生い立ちを持つタニス。母親は彼を産んだあと悲嘆にくれて死んでしまい、彼は母親の遠い親戚にあたるエルフの国クォリネスティで育つことになります。でも、エルフに育てられ、エルフの戦闘訓練を受けて、エルフの剣を持ったタニスにかなう者はほとんどいないと言われていても、彼は自分の体の中に流れる半分の人間の血に葛藤し、強い疎外感を抱いたまま逃げるようにクォリネスティを離れ、友人フリントのいるソレースへと身を寄せます。そしてここから彼はドラゴンランスの冒険へと旅立つことになるのです。旅立つと言っても好きで行くわけじゃありません。内容紹介に書いたように、トラブルに巻き込まれていつの間にか逃げ出す羽目になり、それが冒険へと繋がっていくという私の好きな『騒動巻き込まれ方主人公』です。カバーの絵も本国でドラゴンランスシリーズのカバー絵を手がけているイラストレーターさんの絵なんですが、日本人が見ても繊細できれいな絵です。ハードカバーの単行本なので価格帯が少し高めなのですが、これだけのお金をかける価値はあると思います。絶対おすすめですね。

時の車輪(原題:The Wheel of Time)

著 者:ロバート・ジョーダン
出版社:ハヤカワ文庫FTシリーズ
価格帯:約700円前後
サイト:時の車輪公式ページ

シリーズ内訳
  1. 第1部「竜王伝説」全5巻
  2. 第2部「聖竜戦記」全5巻
  3. 第3部「神竜光臨」全5巻
  4. 第4部「竜魔大戦」全8巻
  5. 第5部「竜王戴冠」全8巻
  6. 第6部「黒竜戦史」全8巻
  7. 第7部「昇竜剣舞」全7巻 
  8. 第8部「竜騎争乱」全5巻
  9. 第9部「闘竜戴天」全5巻
  10. 第10部「幻竜秘録」全5巻
    (刊行順)
内容
 このお話は、私の好きな『騒動巻き込まれ型主人公』の典型です。主人公ランド・アル=ソアは、羊飼いの息子です。エモンズフィールドと言う町のはずれに農場を営む父親タム・アル=ソアと二人暮し。母親はだいぶ前に亡くなっていますが、息子のランドはもう20歳になり、いずれ婚約者であるエモンズフィールドの宿屋の娘エグウェーンと結婚して農場を引き継いで行くという未来を、漠然とではありますが受け入れています。

 ある日ランドが父と二人でエモンズフィールドに向かう途中、薄闇の中に奇妙な人影を見つけます。見ただけでぞっとするような薄気味悪い人影の話を父親にしますが、父親はそんなものは見ていない、お前の気のせいだろうと取り合ってくれません。釈然としないままエモンズフィールドに向かったランドは、春祭りの準備にわく町の中で貴族の姫らしい美しい女性モイレインと出会います。友人のマット、ペリンと共にその女性から銀貨を一枚ずつもらい、絶対にそれを手放さないようにと、不思議なほど念を押されます。

 狐につままれたような心持で帰途についたランドでしたが、その日の夜、ランドの家の農場が恐ろしい化け物に襲われてしまいます。何とかランドは難を逃れますが、父親は瀕死の重傷に。治療をしてもらおうと急ごしらえの担架に父親を載せて、ランドはエモンズフィールドの賢女の元に向かいますが、なんとエモンズフィールドも壊滅状態になっていました。農場を襲ったのと同じ化け物「妖獣トロローク」に襲われたのです。混乱の中をランドは賢女の元にたどり着きますが、まだ年若い賢女ナイニーヴは、父親タムを一目見るなり『もうだめだ。私は助かる可能性のある人を優先的に助けなければ』とさじを投げて立ち去ってしまいます。それでもあきらめきれず、わらにもすがる思いでランドは昨日出会ったモイレインの元へ。実は彼女はこの世界の『異能者』だったのです。異能者とは万物源と言う力の源から自由に力を引き出し、火も水も思いのままに操れるほどの能力を身につけた人々です。もちろんその力を操って怪我や病気も直せるはず。そこでランドは父親を助けてくれるようモイレインに頼みこむのですが、なんとモイレインは、『父親を助ける代わりに、あなたは私と旅に出なさい』と持ちかけます。しかもペリンとマットも一緒に。彼女が言うにはランドとペリンとマットは『歴史の織り人』で、そこに存在しているだけで歴史の流れが大きく変わりうる可能性を秘めているとのこと。そんなばかなと思いながらも、父親の命には代えられず、ランドは承諾するのでした。

 そして出発の時、異能者モイレイン、その護衛士ラン、そしてランド、ペリン、マットの5人で出発する予定でしたが、なんと彼らの旅立ちを嗅ぎつけて、ランドの婚約者エグウェーンが一緒に行くと言いだし、さらに祭りの興行のためにエモンズフィールドに滞在していたトム・メリリンと言う吟遊詩人までが仲間に加わって、一行はあたふたと旅立つ羽目になります。

 さてその後、旅の途中で不思議な娘ミン、エモンズフィールドを含む広大な領地を有するアンドール王国の時期女王エレインとその兄ガーウィン、ガラドなど、今後物語のキーパーソンとなる人物たちとの出会いや、魔都シャダーロゴスでの一行分断など、さまざまな冒険を経て物語は展開します。第1部の最後に、ランドは自分が『竜王の再来』であり、闇王シェイ・タンと戦うことを運命付けられた存在であることを知るのですが、その後の物語は実際に読んでいただいたほうがいいかと思います。

書評
 通販のページで偶然見つけた本です。現在第1部から第10部までが出ていますが、未だ完結していません。11部は現在執筆中で、12部で完結予定とのことです。日本語版は「第○○部」として出ていますが、原作は第1部=第1巻なんですね。邦訳するとどうしてもページ数を稼いでしまうし、しかも文庫本のみの刊行なのでこういう形になっているようです。タイトルは海外のものとは違います。日本国内向けのタイトルでしょうね。ところでこの本の翻訳にあたり、主人公ランドとモイレインの護衛士ランとの区別が今ひとつつきにくいと言うことで、護衛士ランを『護衛士マンドラゴラン』(ランの苗字です)にする案も出たらしいのですが、読みやすさなどを考慮して護衛士はランのまま、主人公を『ランド』ではなく『アル=ソア』と表記することになったそうです。父親が自分の息子を苗字で呼ぶってのもよく考えると変なんですが、そんな突込みが意味をなさないほど、一気に読ませてくれる物語です。お勧めの一冊(既刊61冊だけどw)です!

真実の剣(原題:Sword of True)

著 者:テリー・グッドカインド
出版社:ハヤカワ文庫FTシリーズ
価格帯:約700円前後
サイト:早川書房公式ページ
シリーズ内訳
  1. 第1部「魔道士の掟」全5巻
  2. 第2部「魔石の伝説」全7巻
  3. 第3部「魔都の聖戦」全4巻
  4. 第4部「魔界の神殿」全5巻
  5. 第5部「魔道士の魂」全5巻 現在刊行中
    (刊行順)
内容
 物語は、ある日突然父親を惨殺された主人公リチャードが、悲しみを紛らわそうと森の中を歩いていて偶然旅の女性を助けます。その女性と共に友人のゼッドの所を訪ねたところからとんでもない騒動に巻き込まれ・・・。という、私の好きな「騒動巻き込まれ型主人公」のお話です。
 このあと父親を惨殺した殺人者の魔手はリチャードにも伸び、彼は家にも戻れなくなってしまいます。そして実はカーランがこの国の人間ではなく、「第一級の魔道士」を探して「真実の探求者」を任命してもらおうとやってきた、魔法の国ミッドランズの聴罪師長であったことがわかります。そしてその第一級の魔道士こそリチャードの友人ゼッドであり、探求者たる資格を持つ者が実はリチャード本人だったことが明らかになりますが、当のリチャードはさっぱりわけがわからず、それでもゼッドと共にカーランをミッドランズに送り届けるために住み慣れた森を旅立つのでした。旅の途中、リチャードは自分の国にも不穏な動きがあることを知り、調べようとするのですが、殺人者の手先によって捕らえられてしまい、苛烈な拷問を受けます。それによって一度は洗脳され殺人者ダークン・ラールの意のままに操られるところでしたが、共に旅をするうちに愛するようになっていたカーランの名前を聞いた途端に呪縛は解け、本来の自分を取り戻すことが出来たのでした。やがて助けに来たカーランとゼッドの助けを借りて、リチャードはダークン・ラールをまんまと罠にかけて打ち破り、危機を脱しますが、実は本当の危機はここから始まっていたのです。

 でもそんなこととは露知らぬリチャードは、ゼッドからダークン・ラールがなんとリチャードの本当の父親であり、母親がゼッドの娘だと言うことを知らされます。友人だと思っていたはずのゼッドは実はリチャードの祖父だったのです。しかもあろうことか、リチャードの母親はダークン・ラールに暴行されてリチャードを身ごもったことを聞かされてリチャード大ショックです。ゼッドは自分の娘がダークン・ラールに暴行されて身ごもったことを知り、娘が彼に見つからないように死の魔法をかけて死んだと思わせ、魔法が一切存在しないこのウェストランドにやってきたのでした。その後娘とジョージ・サイファを結婚させ、リチャードはジョージの息子として腹違いの兄マイケルと共にウェストランドで元気に育っていったというわけです。このあと、ウェストランドの騒動の黒幕が実は兄のマイケルだったことがわかったり、ダークン・ラールが支配していたダーラの国を息子のリチャードが統治することになったりと、いろいろな話があるのですが、その辺の詳しい話は実際に読んでいただいたほうがいいでしょう。

書評
 この本も時の車輪と同じく、第1部=第1巻です。海外で8巻目が出るという話を聞いたのがもう大分前ですから、今はどうなっているのでしょうね。早川書房では、当初刊行が決まっていたのは4部までだったのですが、めでたく5部以降も刊行されることとなり、楽しみが増えてうれしいです。
 テリー・グッドカインドはこの物語が処女作だそうです。本国では話の流れが時の車輪に似ていると言われているようですが、別に揶揄されているわけではないようで、この物語もかなりの人気を誇っています。ただ、時の車輪と違って、こちらは主人公リチャードの前に立ちはだかる強大な敵の存在が明らかになっていないので、何となくトラブルを小出しにしている感があります。そしてどうにもイライラさせられるのが、登場人物達の学習能力のなさ。なんというか、毎回同じようなトラブルに同じように巻き込まれてひどい目に遭っているような感じがするのですよ。時の車輪と違ってこちらは各部ごとにリチャードとカーランの愛が深まっていく様子が描かれているのは実に好感が持てるのですが、同じようなトラブルでも違う見せ方をしてほしいものだなどと偉そうなことを考えてみたりしています。
 公式ページなどはありません。そんなに爆発的に売れているというわけでもなさそうですが、大人が読んでおもしろいファンタジーですのでお勧めです。でも暴力描写などがけっこう生々しいので、低年齢の読者にはお勧めしません。大人の方も、つい物語の中に引き込まれてしばらく血みどろのシーンが頭に焼きつくかも知れないので、深呼吸してから読んでくださいね。