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第113章 リーザの覚悟とウィローの意地

 
「剣士団長オシニスだ。開けてくれ。」
 
「リーザ、いいね?」
 
 私はリーザに向かって小声で尋ねた。リーザがうなずいたのを確認して扉を開けた。
 
「どうぞ。お待ちしていましたよ。」
 
「リーザはどうだ?ベッドから出られるか?」
 
 オシニスさんはすぐに入ってこようとせず、部屋の入り口でそう尋ねた。
 
「大丈夫です。今は服も着替えて、オシニスさんがいらっしゃるのを待ってますよ。」
 
「そうか。実は立会人が2人いるので一緒に入りたいんだが、問題ないか?」
 
「オシニスさんは剣士団長ですから問題ないとしても、リーザは貴族の独身女性ですよ。男性の立会人は入れるわけにはいきませんね。」
 
 ハディのように家族が認めているならまだしも、御前会議の大臣辺りにずかずかと入ってこられてはたまらない。
 
「クロービス、私はいいわよ。」
 
 背後からリーザの声がした。
 
「心配するな。大臣と言えどさすがに男を連れては来ないよ。来たがってぐだぐだ言っていた奴はいたがな。」
 
 本来ならばリーザがフロリア様の御前に出向き、大臣達ほぼ全員の立ち会いの下、処分を言い渡されるはずだ。だがリーザが入院中と言うことで、立会人は必要だが貴族の独身女性が入院している部屋に男性大臣を立会人として入らせるのはまずいと言うことになったのだろう。
 
「女性であれば問題はないと思いますが、処分の言い渡しについてはもちろん、部屋の中のことをあれこれ口出ししたりされるのも困りますよ。」
 
「無論だ。そこは心配しなくていいだろう。」
 
「であれば問題ないでしょう。」
 
 一番困るのは、部屋に入ってくるなりじろじろと部屋中を眺め渡し、この部屋をリーザが使っていることにイヤミや文句を言うようなことだ。男性だろうと女性だろうと、そんな人物なら追い出さなければならない。
 
「よし、では2人とも入ってください。リーザと顔見知りの方が声をかけるくらいは問題ありませんが、今回の処分についてや、この部屋のことについては一切の口出し無用です。余計なことを言ったら、あなた方であろうとすぐさま叩き出しますのでそのおつもりで。」
 
 オシニスさんが振り向いて、背後にいたらしい誰かに話しかけた。
 
「わかりました。」
 
「わかった。挨拶くらいは問題ないか?」
 
「そのくらいはいいでしょう。」
 
 女性の声が2人分同時に聞こえた。1人は多分・・・。
 
 
 オシニスさんに続いて入ってきたのは女性が2人。1人はやはりセルーネさんだった。そしてもう1人は、以前食堂に勤めるチェリルの件で話を聞きに行ったことがある、サスキア・タイラス事務官だった。
 
「おはようございます、団長。セルーネさんにサスキアさんも・・・。」
 
 リーザも驚いている。
 
「この2人は立会人だ。聞こえていただろうが、貴族の独身女性の病室にどんな年寄りだろうと男の大臣を入らせるわけにはいかないからな。大臣達の中からセルーネさんが、御前会議付きの秘書官からタイラス秘書官が立会人として選出された。不服があれば1人は追い出すことも出来るが、リーザ、どうだ?」
 
「いえ、問題ありません。かえってここまでご足労いただいてありがとうございます。」
 
 リーザが立ち上がって挨拶した。
 
「久しぶりだなリーザ。体の調子はどうだ?」
 
「体のほうはもう何ともありません。」
 
「リーザさん、ご無沙汰しています。私は御前会議付きの秘書官として着任したばかりなんです。最初の仕事がこの立合だと伺って、少し緊張しています。」
 
 サスキアさんは笑顔でそう言った。
 
「秘書官が何人か御前会議全般の仕事の補助をするというのは以前伺ってました。最初の仕事がこれなんて・・・団長、セルーネさん、サスキアさん、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」
 
 リーザが深々と頭を下げた。
 
「さてと、まずはやらなきゃならないことを済ませてしまうか。アスランの妹はどうした?」
 
「洗濯に行ってますよ。お昼くらいまではかかると思います。」
 
「よく働く娘だな。まあ、いない方が都合がいいか。リーザ、始めていいか?」
 
「はい。」
 
 リーザは緊張した面持ちでオシニスさんの前に立ち、片膝を立てて跪いた。
 
「お願いします。」
 
 セルーネさんとサスキアさんは、オシニスさんとリーザをよく見ることの出来る位置に移動した。
 
「では始めよう。」
 
 オシニスさんが懐から封筒を取り出し、手元に広げて読み始めた。
 
「リーザ・ガーランド、ガーランド男爵家の家督相続手続きに関して、騒動を引き起こしたことについての処分を申し渡す。」
 
 リーザの『気』が震えた。だが歪みはない。緊張の表れだろう。
 
「ひとつ、フロリア様の護衛剣士としての任を解く。」
 
−−≪・・・やっぱり・・・。≫−−
 
 リーザの『声』が聞こえた。こうなることは多分うすうす気づいていたのだろうと思う。例えば大臣達が誰1人リーザを糾弾しなかったとしても、お咎めなしで済ませることは出来ないはずだ。
 
「ひとつ、退院後は一ヶ月の謹慎処分とする。」
 
−−≪・・・一ヶ月・・・まさかフロリア様がこのくらいでと仰ったのかしら・・・。≫−−
 
 リーザにとっては『軽すぎる処分』だったのかも知れない。フロリア様が謹慎期間を短く設定するように強硬に頑張ったのだろうかと不安に思っているのだと思う。
 
「処分は以上となる。退院後は速やかに乙夜の塔にある私物を撤去すること。謹慎期間は自宅で今回の騒動をよく反省し、外出も控えること。謹慎期間も王国剣士としての身分は保持されるので、謹慎期間終了後は直ちに職場に復帰すること。ただし所属部署については未定とする。最後に、もしもこの処分に対して不服がある場合、王国剣士団長に申立書を提出すること。以上だ。」
 
「承知・・・いたしました・・・。不服はございません。退院後は速やかに乙夜の塔の私物撤去を行い、自宅で謹慎いたします・・・。」
 
(復帰は出来るが部署は未定か・・・。)
 
 こう言う場合、暗に退職を迫られていると考えるのが普通だろう。だが私が聞いた話では、そんなに悪い処分にはならないという話だった。つまりそのあとの話は決まっているが、それを今リーザにするわけにはいかない、ということだろうか。
 
(まあ確かに・・・厳しいことを言われたとしても、そのあといい待遇が待ってるとか言う話になってしまうと、反省を促すことが出来ないからな・・・。)
 
 私が聞いたのだって『悪いようにはならない』程度のことだし、ここは余計なことを言ってはいけないようだ。
 
「・・・・・・。」
 
 リーザはしばらく同じ姿勢のまま俯いていたが、小さくため息をついて立ち上がった。
 
「団長、セルーネさん、サスキアさん、私のためにご迷惑をお掛けしたこと、本当に申し訳ありませんでした。」
 
 リーザがもう一度深く頭をさげた。
 
「起きた事はもう仕方ないさ。さてこれでお前に対する処分の話は終わりだ。セルーネさん、サスキア、お疲れさまでした。もう帰っていただいていいですよ。」
 
「なんだ、せっかく来たんだからリーザと少し話せるかと思ったんだが、それはまずいのか?」
 
 セルーネさんが言った。
 
「まずくはないですが・・・クロービス、どうだ?」
 
 オシニスさんが思案顔で私を見る。
 
「では医師としてリーザについて申し上げます。リーザは大分回復していますが、それでもまだ本調子ではないんです。内臓が受けた損傷は、一日や二日で回復出来るほど簡単ではありません。ですが、病室に籠もっているより、誰かと話をした方が気が紛れる事もあります。ですので、少しだけならいいですよ。」
 
「それじゃお茶を淹れますね。皆さんはテーブルの方にどうぞ。」
 
 妻が立ち上がってお茶を淹れ始めた。妻の『気』が少し歪んでいる。気にするほど大きくはないが、さっきの処分について怒っている可能性はありそうだ。もっとも妻や私が怒る筋合いのものじゃない。今回の処分は王国剣士としてのリーザに下されたものであり、本人が受け入れている以上私達が余計な口を出すことは出来ないはずなのだが、妻がきちんとそう考えてくれるかどうか・・・。
 
「ありがとう。どうしているかとずっと心配だったんだが、他の大臣達の手前、おおっぴらに話題に出すことが出来なかったからな。」
 
 セルーネさんとサスキアさんがテーブルについた。椅子の数は足りているので、オシニスさんにもどうぞと勧めた。
 
「それでは皆さんにお伺いしたいことがあります。」
 
 リーザが空いていた椅子に座り、この部屋の利用料について話がしたいと言った。オシニスさんだけではなく、セルーネさんもサスキアさんも複雑な顔をしたが、『ここは俺が話します』オシニスさんが2人にそう言って、リーザに向き直った。
 
「わかった。何が知りたい?」
 
「まず、今どういう状況になっているのか教えてください。クロービスが団長から聞いた話は教えてもらえましたけど、実際にフロリア様がどんな状態だったのか、セルーネさんもサスキアさんもご存じですよね。」
 
 オシニスさんの話に寄れば、リーザがこの部屋に入院することになったことは、御前会議には報告したそうだ。国王陛下の専用通路を使わせてもらったので、黙っているというわけにも行かないかららしい。だがそれを面白く思わない大臣は何人もいる。当然ながら剣士団長の判断、許可を出したレイナック殿への批判が相次いだ。特にホルテック卿は鬼の首でも取ったがごとく、そんなおかしな話は聞いたことがない、即刻リーザを一般病棟に移動させよとオシニスさんに迫ったらしい。
 
「まあホルテック卿は、ガーランド男爵家について手持ちの密偵にいろいろと探らせていたらしい。だがちっとも情報が入ってこなくてイライラしていたらしいよ。そこで御前会議で騒ぎ立て、リーザを一般病棟に移してしまえばガーランド男爵家についてもリーザについても探りやすくなると考えたんだろうな。」
 
 ところが、そのホルテック卿を強く諫めた人物がいた。フロリア様である。フロリア様からの発言に、さすがにホルテック卿も驚いたらしい。
 
 
『リーザ・ガーランドは20年に渡ってわたくしの護衛として職務を全うしてくれています。その実績を鑑みれば、今回のことはちっともおかしな話ではありません。ホルテック卿、それをおかしな話と言い切る、その理由を聞かせてください。』
 
 かなり強い口調だったらしく、ホルテック卿が怯んだ。そこにすかさず
 
『リーザ・ガーランド護衛剣士は、20年前の騒動の折はフロリア様と王宮奪還のために動き、その後今に至るまでずっとフロリア様を守り続けておる。その実績を蔑ろにすると言うことは、フロリア様の名を軽んじ、ひいては王家に弓引く意思ありと受け取られても文句は言えぬぞ。貴殿がおかしな話だと言い切ったその根拠は説明して然るべきだろう。』
 
 レイナック殿がぴしゃりと言った。その状況でホルテック卿を擁護する声はなく、ホルテック卿は悔しそうに黙るしかなかったらしい。
 
 
「その話のあと、会議が終わってからドゥルーガー会長が訪ねてきたんだ。あの部屋の利用料について話がしたいと。」
 
 フロリア様としても、ホルテック卿が騒ぎ立てたことについて腹が立っていたのかも知れない。あの部屋の利用料はリーザの実績を考慮して無料で使えるようにしてくれと言いだし、困ったのがドゥルーガー会長というわけらしい。
 
「フロリア様は『聞く耳持たん』といった感じでな。お金など取るわけにはいきません。無料で、好きなだけいてもらっていいと伝えてください、とまあ、かなり頑なだったんだよな。」
 
「でも・・・当然お金の問題は出てくるじゃないですか。無料にするにしても、どこかから利用料を補填しなければならないはずですよね。」
 
 リーザが半分呆れたように尋ねた。
 
「そうなんだ。その話をしたら、フロリア様が自分の個人資産から出すと言い出した。税金はさすがに使えないと思ったんだろうな。」
 
「当たり前です!こんなことに税金を投入したら、それこそ『あのお方』の格好の標的になってしまいます。」
 
「お前が冷静に判断してくれて嬉しいよ。その話をしたのは御前会議が終わって大臣達が退出したあとだったし、ドゥルーガー会長が執務室を訪ねてくるのはそう珍しいことではないから、その時は騒ぎにならなかったんだが、まあ、執政館の中ってのはどこにでも目や耳があるからな。正式な会議の議題になっていなくても、大臣達が知るところとなった。そうなると会議でこの件を取り上げないわけには行かなくなって、少し後に正式に議題として提出されたんだ。内容を聞いた大臣達がフロリア様に考えを変えてくれるようにかなり強く迫っていたよ。だが騒がれれば騒がれるほど、フロリア様はどんどん頑なになっていく。今は昔のように、フロリア様の鶴の一声ですべてが決まる時代じゃない。だがこの件に関してだけはフロリア様は全く歩み寄ろうとしない。会議の時も普段の執務の時も強ばった表情をして、にこりともなさらず政務をこなしているというわけさ。」
 
 リーザが大きくため息をついた。
 
「今護衛についているのは誰ですか?」
 
「キャシィだ。相方のニノと交代で昼と夜護衛についている。」
 
「フロリア様がそんな調子では、2人とも緊張しているでしょうね・・・。本来なら今回の護衛は私が休んでいる間だけになるはずだったわけですし・・・。」
 
 リーザが家督相続の手続きのために休み、予定通り復帰出来ていたら、今回の護衛体験を元にリーザが間に立って、フロリア様と新しい護衛達との仲を取り持つことになっていたらしい。そうして少しずつお互い慣れていってもらい、リーザがいなくても何とかなるよう考えていたと言うことだ。
 
「・・・それが私の責任だと言うことは身に染みています。でも今は、この事態を打開するために動きたいんです。団長、弟にはこの病室の利用料について話をしていただけたんですよね。」
 
 リーザの心には後悔が渦巻いているが、それに囚われず前を向こうとしている。ただ少し無理しているんじゃないかと思う。オシニスさん達が帰ったら、気持ちをほぐせるよう、話題を考えておいたほうがいいかも知れない。場合によっては心を落ち着かせるようなハーブティでも淹れて、のんびりしてもらおう。
 
「ああ、今朝団長室に来てもらって、話をしたぞ。ここの利用料は本来ガーランド男爵家で支払うべきものだが、私が勝手に動いては姉に叱られますから、明日ここに見舞いに来た時に姉と話をさせてくださいと、そんなことを言っていたな。」
 
「そうですか・・・。私も弟と話をして、うちで支払う方向で話を進めたいと思っているんです。フロリア様の顔を潰すことになってしまいますが、それでもフロリア様の個人資産からお金を出していただくわけにはいきません。」
 
「そうだな。だが、フロリア様の顔を潰さない程度に、うちでも考えてるぞ。ランドの奴に割引額の計算をやってもらってるんだ。だからまずお前とラッセル卿で話し合ってもらって、支払の目処がついたところで割引額を提示、それでフロリア様に納得していただこうというわけだ。」
 
「割引ですか・・・。それは確かに、フロリア様が考えつかないことかも知れませんね・・・。」
 
 リーザもそれは同じだったらしい。『自分が払わなければならない』お金だ。払うから割り引いてくれなんて考えもつかなかっただろう。
 
「俺達一般庶民なら、大抵の支払は値切るもんだがな。フロリア様はどうだろうなあ・・・。」
 
 祭り見物の時に、バザールでオシニスさんが値切り交渉をしたことは、もちろん憶えているだろう。だが今回のことはまた別の話だ。しかもフロリア様はリーザに対して好意を示したいわけだから、割り引くから支払えなんて言うわけがない。
 
「一般庶民じゃなくたって値切るぞ。うちと取引している他の貴族の所領でも、けっこうふっかけてくることはあるからな。こちらが適正であると考える価格までは値引き交渉をすることにしている。」
 
 セルーネさんが言った。
 
「でも今回は、フロリア様が支払う側ってわけではないですからね。割り引いて支払ってもらうと言うことを理解していただけるかどうか・・・。」
 
 サスキアさんもため息顔だ。
 
「団長、ランドさんの提示してくれる割引額を教えてください。明日弟と話し合いをして、これなら無理なく払えると言う額を支払います。」
 
 リーザは最初から支払うつもりなのだ。それがいくらでも言われたとおりの額を支払うつもりでいるだろう。
 
「しかしフロリア様がうんと仰せられないと、お前の立場が悪くなる可能性もあるぞ?フロリア様が頑ななことに呆れている大臣達も、お前が支払えば支払ったでフロリア様の意向を無視してとか言い出す奴は出てきそうだしな。」
 
「そんなことはかまいません。今さら何を言われたところで何も変わりませんから。私にとって大事なのは、フロリア様のお立場が悪くならないことです。『あのお方』につけ入る隙を与えないためにも、出来る限り速やかにこの問題を終わらせなければなりません。」
 
 リーザがきっぱりと言った。
 
「ちょっと待ってリーザ。君の入院期間はまだ先があるんだ。今計算してもらうってわけには行かないんじゃない?」
 
 意気込みは買うが、まだ入院して幾日も経っていない。
 
「あ、そうよね・・・。ねえクロービス、私の入院期間はやっぱり一週間なの?」
 
「最低でもそのくらいいてもらわないとね。自覚はないようだけど、君の内臓はまだ弱っているんだ。薬だって一口飲んでいきなり元気になれるようなものじゃない。せめて一週間は時間をかけて経過観察して、そこで問題がなければ退院となるんだけど、そのあともしばらくは薬を飲んでもらうことになるよ。」
 
「でもここに通うわけにはいかないわよね。」
 
「君の家の使用人に薬の煎じ方を教えてくれるよう、ラッセル卿かリンガー夫人に頼もうと思ってるよ。謹慎中に通院のためとは言え王宮に出入りしていたら、何を言われるかわからないからね。」
 
「クロービス、もしもリーザの回復が一週間過ぎても思わしくなかった場合、まだここにいなければならないか?」
 
 オシニスさんが尋ねた。
 
「退院後に自宅に戻ると言うことなら、自宅で療養してもらうことは出来ますよ。」
 
「え?大丈夫なの?」
 
 リーザが驚いたように尋ねた。
 
「この一週間は経過観察があるから、ここにいてもらわないと困るけどね。退院したらしばらくは自宅で安静にしていてほしいな。今回の処分がなかったとしても、すぐに仕事再開とは行かないね。」
 
「そっか・・・。一週間後は退院して家で過ごせるなら、利用料についてはそこまでの金額で考えればいいわよね。団長、一週間と考えて、それで金額を出していただくことは出来ますか?」
 
「ああ、ランドには部屋代のみの計算を頼んでいる。食事と寝具などの洗濯はアスランの妹がやってくれているから、そちらは一般病棟と同じ料金で計算しているんだ。診療費、薬代と合わせて問題なく剣士団持ちに出来る。だから一日辺り部屋代がいくらってところで割引額を出してもらえれば、日数分をかけて支払額が確定するんじゃないか。」
 
「そうですね・・・。それなら入院日数でかければ支払額が出ますから、その辺りも弟と相談してみます。」
 
「そうしてくれ。この部屋がなあ・・・一日3,000Gってのが・・・。」
 
 部屋を見渡し、オシニスさんがため息交じりに言った。
 
「元々この病室は貴族のためのものだが、最初はここまで豪華ではなかったという話だぞ。豪華でないと文句を言うのは、『あのお方』の専売特許というわけではないってことだな。」
 
 セルーネさんが半分呆れたような口調で言った。
 
「だから本来ならば、一日5,000Gとってもいいくらいの金がかかっているらしい。うちは城下町に屋敷を構えた時点で屋敷の中に診療所を作ったから、ここを使ったことはないらしいがな。」
 
「5,000G・・・って・・・ぞっとするような額ですね・・・。」
 
 思わず言った。
 
「まあ、かなりの金をつぎ込んでいるのは確からしい。医師会ではそこまでの金はないから、国家予算の中で経費を割り当てたりしているらしいがな。おそらく家具調度のメンテナンスや寝具の入れ替えなどで、今でもそれなりの金が使われているんじゃないか。」
 
 セルーネさんの口調は何となく『バカバカしい話だ』と言いたげに聞こえた。
 
「いくら貴族のための入院施設とは言っても、そこまで必要なんですか?」
 
「必要はないと思うけどなあ。元を辿ればずっと前の医師会の会長が、貴族のいいなりになって金をつぎ込んだのが始まりらしいから、ドゥルーガー会長はおそらくここをもう少し質素にしたいと考えているんじゃないのかな。」
 
 その『ずっと前の会長』とは、もしかしたら父を追放した人物かも知れない。治療術師達の親玉の威圧に屈して、部下を追放するような人物だ。権力に弱いというのは容易に想像出来る。
 
「その話は以前伺ったことがあります。確かローランド卿がこの部屋に使われている家具調度などにお金がかかりすぎるって、何度か御前会議の議題に載せようとしてらしたようですね。」
 
 サスキアさんが言った。
 
「ああ、ところが貴族の息のかかった大臣達がその話を議題に載せたがらなくて、なかなか話が進まないんだ。その話が出た日の夜は、大抵ローランドはぶつくさ言ってるよ。」
 
 セルーネさんが困ったように眉間にしわを寄せて言った。つまりこの部屋は、以前から問題があって貴族でも使いたいという患者があまりいなかったから、リーザの件ですぐに使わせてもらえた、と言うことか・・・。
 
「まあこう言うわけで、この部屋は元々問題があってそのせいで稼働率が低かった。だからすぐに使わせてもらえたが、ドゥルーガー会長としても利用料を満額支払ってもらう気はないらしいぞ。だからって無料というのは困る、ということなんだ。」
 
 やはりそうか。医師会としても、いくら稼働率が低くてもただでと言うのは確かに困るだろう。
 
「だから明日ラッセル卿が面会に来たら、その話をきちんと決めておいてくれ。割引についてはいくつかの候補を作ってまずはじいさんに相談してみるよ。じいさんだってフロリア様の立場が悪くなるのは避けたいだろう。それを狙っている『誰か』がすぐそばにいるんだからな。」
 
「ではそろそろ腰を上げるか。私達の役目は終わったからな。」
 
 セルーネさんがそう言って立ち上がった。
 
「はい。でもよかったです。リーザさんがお元気そうで。」
 
 サスキアさんも安心したように微笑み、立ち上がった。
 
「リーザの面会は明日から身内の方には解禁です。ただ他の方はもう少し遠慮してください。もしも面会を希望される方がいましたら、そうお伝えいただけますか。」
 
「わかった。ランドにも伝えておくよ。なあクロービス、ウィローも、サビーネの件で話があるんだが、いつなら都合がつく?」
 
「何か進展があったんですか?」
 
「まあな。それでこの件はお前達が当事者だから、話を聞くなら一緒に聞きたいというのが、ドゥルーガー会長の希望なんだ。その時は他の先生方にも一緒に聞いてもらうことになる。で、リーザも目が覚めて元気なようだし、一日くらいなら代わりの医師を手配するから都合を付けてもらえないかと伝言も頼まれてきたのさ。」
 
「そういうことでしたら、明日ラッセル卿達が来られたら会長室にうかがえますよ。リーザの看病は身内の方に任せてもいいんじゃないかと思ってるんですよね。もっともリーザの気持ち次第だから、明日からいきなり私達はここに来ないなんてことはないですけどね。」
 
「私はいいわよ。サビーネってクリフの手術の時に何か企んだって看護婦でしょ。しっぽが掴めたならぜひ聞いておいた方がいいと思うわ。私はラッセル達とお茶でも飲んでいるから。食事と薬はセラフィさんに頼んでも問題ないでしょ。どうやらローランではいつもやっているって話だし。」
 
「そうだね。オシニスさん、明日時間が取れると思います。そろそろセーラがリーザの食事と薬を持ってきてくれると思うので、話をしてみます。」
 
「よし、それでは明日だな。それじゃよろしく頼む。」
 
 オシニスさん、セルーネさん、サスキアさんは部屋を出て行った。しばらくしてセーラが戻ってきて、食事と薬を持って来てくれた。
 
「ちょうど医師会の厨房にいた時にハインツ先生が届けてくださったんです。昨日のお昼の薬と少し配合を変えてみたと言うことでしたわ。こちらがレシピのメモです。」
 
 朝の薬は熱いお湯に付けてしばらくおけば成分が抽出されるように作ってくれたが、お昼はハインツ先生が煎じたものをセーラに持たせてくれている。渡されたレシピを見ると、滋養のある薬草が少し足されていた。その分心を落ち着かせるような薬が少なめになっている。メモの隅に『目が覚めてお元気だと言うことですので、ここからは体力を取り戻すことを一番に考えましょう。飲みづらいなどのご意見があれば教えてください』と書かれている。
 
「私、ハインツ先生に聞かれたんです。リーザさんの今の状態なら、このレシピがいいと思うけど、どうですか?って。」
 
 突然尋ねられてセーラは驚いたらしい。だがデンゼル先生の診療所では看護婦として薬の調合に携わってきた。デンゼル先生もアーニャも薬についてどんなことでも教えてくれた。そしていずれ医師として身を立てるつもりでいる以上、このくらいのことはきちんと答えられなければならない、そう考えたらしい。そこで『今はこのレシピがぴったりだと思います。ただ今後のことを考えるなら、時折不安になられることがあるようですので、気持ちを落ち着かせる薬は当面この量のままで、滋養のある薬はもう少し多くても大丈夫だと思います。』そう答えたのだという。
 
「ハインツ先生は『そうですね。それも合わせてクロービス先生にお伝えください』と仰いました。」
 
「リーザの今と今後をちゃんと考えての回答だから、その答えでいいと思うよ。君の考えは間違っていない。」
 
 セーラは少しほっとしたように微笑み『ありがとうございます』と頭を下げた。リーザがテーブルで食事をして、薬湯を飲んだ。今回はあんまり急いで飲み干さず、ゆっくりと飲んでいる。
 
「今日のは苦くないわね。」
 
「苦い薬を入れなければならないほど、君の状態は悪くないからね。食べてすぐに動くのはよくないから、しばらく安静にしていてね。」
 
 リーザは椅子に座ったまま「体がなまりそうだけど、仕方ないわね。」と笑った。
 
 
 その後は私達も食事の時間だ。今日までは面会を遠慮してもらっているので、交代で食事をしに行くことにしてある。セーラに先に行ってもらうことにしたのだが、妻が一緒に行きたいと言い出した。
 
「たまには女同士でおしゃべりしながら食事したいわ。ねえセーラ、東翼の喫茶室のランチはおいしいんだけど、行ったことはある?」
 
「ないです。なかなか食べに行く機会がなくて・・・。」
 
 大抵は医師会の厨房に隣接した職員用食堂で済ませてしまうらしい。
 
「それじゃ行かない?いろんな食事を食べてレシピを研究することも、今後の仕事に役立つと思うわよ。」
 
「それじゃさっきの話もしてくれるかな。」
 
 今話をしようと思っていたが、妻から話してもらったほうがいいかも知れない。
 
「わかった。それじゃ行きましょ。」
 
「さっきの話ってなんでしょうか。」
 
 セーラは首を傾げている。
 
「あなたに頼みたいことが出来たのよ。食事しながら説明するわ。」
 
 
 妻がセーラと病室を出て行った。
 
「さてリーザ、お茶でも飲もうか。」
 
 私はリーザの返事を待たず、心を落ち着かせる効果のあるハーブが入ったお茶を淹れた。
 
「前向きなのはいいけど、焦ってはいけない。もっとのんびり構えたほうがいいよ。」
 
 リーザは私を上目遣いに見、小さくため息をついた。
 
「ふふ・・・そうね。気をつけないとね。」
 
「ま、さっきのような仕事のシーンでは仕方ないけどね。それが終わってオシニスさん達と話をしている時でも、かなり頑張ろうとしてたみたいだね。もう少し肩の力を抜いてもいいんだよ。焦ったところでいい結果が得られるってわけじゃないからね。」
 
 リーザはしばらく黙っていたが・・・。
 
「ねえクロービス。」
 
「ん?」
 
「私・・・謹慎が解けたあと、またフロリア様の護衛になれると思う?」
 
「私にはわからないよ。」
 
 復帰しても所属は未定・・・。つまりそれは、リーザがもうフロリア様の護衛として復帰することはないということだ。剣士団だけでどうするか決めることは出来ないだろうし、フロリア様やレイナック殿は、今回おそらくは口添え出来ない。そしてその判断には当然ながら、御前会議の大臣達も絡む・・・。
 
(でもリーザの処分は、そんなに悪いものにはならないとオシニスさんもランドさんも言っていた。とは言え、復帰後にいい役職が用意されているなんて、たとえ決まっていても言うことはないだろうな・・・。それでは本人の反省を促すことが出来ないし・・・。)
 
 私はその件について特に口止めされているわけではないが、はっきりと『リーザの処分はたいしたことがない』なんて聞いたわけじゃない。余計なことは言うべきじゃない。
 
「ふふふ・・・そうよね。あなたはもう剣士団の人間じゃないのに、聞かれても困るわよね・・・。それが気になって、さっきはついつい『ちゃんとしています』をアピールしてしまったのかも知れないわ・・・。私がフロリア様の護衛に戻れるかどうか、決まっていたとしても教えてくれるはずがないのにね・・・。」
 
「謹慎期間は一ヶ月だけど、謹慎と言うより、君がのんびりと家で療養出来るようにとの計らいだと思うよ。復帰後どうなるかってのは気になるところだと思うけど、今考えても仕方ないよ。」
 
 フロリア様がこの部屋の料金について頑ななのは、リーザの処分についてご自分の意見が通らないと理解されているからだろう。せめてお金の心配だけでも気にしないでもらえれば、リーザはここでのんびりと療養出来るだろうと考えたのだとしても無理はない。だが現実はそううまく行かない。『あのお方』が表立って騒いでいるという話は出ていないようだから、手駒を使って御前会議の内側から崩そうとしているかも知れない。フロリア様は・・・ご自分の足下が危うくなるかも知れないと、考えてはいないのだろうか・・・。
 
「何だか眠くなってきちゃったわ・・・。少し眠るわね。」
 
「それがいいよ。せっかく何もしないでいられるんだから、だらだらのんびりってのもいいんじゃないかな。」
 
「あうぅぅ・・・太りそう・・・。でもいいわ。元気になったら頑張ってリハビリしないと。」
 
「リハビリってのは大げさだけど、体がなまらないように軽く運動をするのはいいことだよ。」
 
「軽く、よね。」
 
 リーザが念を押すように言った。
 
「そう、軽く、だよ。ダンベル振り回したり、スクワット100回とかやっちゃダメだよ。」
 
 リーザが笑い出した。
 
「まあとりあえず、眠るわ。」
 
「そうだね。おやすみ。」
 
 
 その後セーラと妻が戻ってきて、私が食事に出た。東翼の喫茶室で手早く食事を終えて病室に戻ったが、リーザはまだ起きてないようだった。やはり午前中は気が張っていたのだろう。そして私は、ここで改めてセーラから、島の診療所で勉強させてほしいと頼まれたのだった。
 
「先生達がいらっしゃらない時にリーザさんの薬のお世話をしてほしいと、先ほどウィローさんから伺いました。喜んでお手伝いさせていただきます。それで、先生のところで勉強させていただきたいというお願いですが、改めてお願いしたいと思います。ダメでしょうか。」
 
「ダメって事じゃないよ。君が充分考えての結論なら、うちでも受け入れる用意はある。どう?きちんと考えた?」
 
 セーラがうなずいた。
 
「医師会でお世話になってみて、改めて医師を目指したいと思いました。母から逃げるためではありません。医師会での看護婦の地位の低さや、まだまだ解明されていない病気の多さを改めて実感したんです。ウィローさんに伺ったのですが、先生達はこれからまだいろいろと行くところがあると言うことでしたので、私はローランでお待ちします。兄のほうもそろそろ心配なくなってきましたので、もう少ししたらローランに帰ろうと思います。先生、ウィローさん、どうかよろしくお願いします。」
 
 セーラが頭を下げた。以前話を聞いた時のような、苛立ちや不安は感じられない。本当に心から、自分の行く道を決めた、そんな風に感じられた。そこで私は、ライロフとオーリスからも島で勉強したいと頼まれていることを話した。
 
「オーリスは新人だが既に医師、ライロフも今度の冬に試験を受けるそうだから、おそらく合格すると思う。だから島に来てもらうことには何の問題もない。ただ彼らとも一緒に勉強することになると思うんだけど、どうだろうね。」
 
「あ、その方達でしたら、医師会の調理室でお会いしたことがあります。ハインツ先生の薬の調合を見学されていたようでした。自己紹介していただいたので間違いないと思います。とても熱心な方達ですね。私も見習わねばと思いました。」
 
 
 その時
 
「ん・・・。」
 
 リーザの声が聞こえた。
 
「起きたかな。」
 
 振り返ってみたがまだ眠っているようだ。だが表情がが少しずつ険しくなっている。
 
「それはいやなの・・・。母様、いやなのよ。私は・・・私はあなたの人形じゃないの!」
 
 そう叫んだリーザが飛び起きた。びっしょりと汗をかいて、涙を流している。妻が寄り添い、背中を優しく叩きながら言った。
 
「大丈夫よ。あなたのお母様はもういない。誰もあなたを人形のように扱う人はいないの。大丈夫よ・・・。」
 
 その言葉を聞きながら、リーザの呼吸が少しずつ静かになり、ほうっとため息をついた。
 
「夢を見たんだね。」
 
「ええ・・・母が私を捕まえようとしているの。あなたは私の言うとおりにしていればいいのよ、って・・・。ふふふ・・・おかしいわね。母が私を捕まえようとした事なんてないのに。」
 
「君の心が見せた、象徴的な夢なのかも知れないよ。」
 
「象徴的な夢?」
 
「そう。君はそんな風にお母さんから捕まえられそうになったりしたことはなかったということだけど、君の心の奥底にある意識が、自分の行動を制限しようとするお母さんの姿を、そう見せたんじゃないかな。」
 
「・・・そうね・・・。あなたは私の言うとおりにしていればいいのって、友達とも引き離されて、趣味まで強制されて・・・。」
 
 リーザがまた大きくため息をついた。
 
「だめねぇ・・・未だにこんな夢を見るなんて・・・。」
 
「夢がすべて悪いってわけではないんだよ。君は夢の中に出てきたお母さんに反論したね。今の夢は君が自分を縛るお母さんの影を振り切ろうとしている、そういうことだと思うよ。だから夢を見たからって自分が前に進めていないなんて、後ろ向きに考えることはないよ。」
 
「そっか・・・。そう言う考え方もあるのね・・・。」
 
「無理をしてはいけない、それはさっきも言ったことだけど、自分に自信を持つってのも大事だよ。」
 
「ありがとう、クロービス、ウィローも。そう言ってもらえると気持ちが楽になるわ。」
 
 私達のやりとりを、セーラは黙って聞いていたが、何となく複雑な顔をしていた。セーラの中でもいろいろと葛藤はあるのだろう。だがリーザが言ったように、わかり合おうという意思が少しでもあるのなら、まだチャンスはある。セーラの母親は生きて元気でいるのだから。だがセーラと母親の確執も、少しずついい方向に向かっていくのではないかと思う。セーラははっきりと『母から逃げるためではない』と言っていた。娘としてではなく、�T人の人間同士として向かい合うことが出来れば、また見方も変わるだろう。
 
 
「それじゃ今日はここまででいいよ。お疲れさま。明日のリーザの薬はよろしくね。朝のうちはいるから、その時ガーランド男爵家の皆さんに紹介して、少し打ち合わせをしよう。」
 
「はい、わかりました。」
 
 セーラが病室を出て行った。
 
「気持ちは決まっているみたいね。」
 
 妻が言った。
 
「そのようだね。きっとセーラはいい医者になるよ。受け入れ準備をしなくちゃなあ。」
 
「うーん・・・うちには部屋はたくさんあるけど、同じ家の建物にオーリス達と住まわせるってのはまずいんじゃないのかしらねぇ。独身のお嬢さんを預かるわけだし・・・。」
 
「あー・・・それは確かにそうだね。セーラだけ、どこか別な家に住まわせてもらうか・・・。」
 
 でもよほどしっかりと言っておかないと、夜這いの手引きなどされても困るし、どうしたものか・・・。
 
「まあ今すぐの話じゃないから、少し考えてみましょう。」
 
 部屋は確かにたくさんあるが、私達の生活スペースとは少し離れている。来客があればそこに泊めることになるので、ゆっくりとしてもらおうという意図なのだが、長期間そこで生活するとなると、若い男性2人と16歳の女の子が同じ建物で、しかも多少騒ぎがあっても私達のところに聞こえないと言うのは、よくないかもしれない。無論オーリス達がセーラに危害を加えると思っているわけではないが、ちょっとした行き違いでも大事になる危険性はあるわけだ。
 
(フローラがまた泊まりに来る可能性もあるしなあ・・・。そうなるとますますオーリス達と隣り合う部屋に泊まらせるってわけには行かないし・・・。)
 
「こちらで預かるにしても、一度観光で来てもらうのが一番みたいね。」
 
「そうだね。預かるかどうかは、まず来てもらってその上で本人達にもう一度考えてもらおう。」
 
「私も一度あなた達の住んでいる島に観光に行こうかな・・・。」
 
 私達の話を聞いていたリーザがぽつりと言った。
 

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